「体育が嫌いだった男」が筋肉ビジネスを盛り上げる――。星野雄三さんは東京大学大学院で筋生理学を研究後、「続かな…

【東大で学び、筋肉で戦う】運動が続かない?なら、この「仕組み」を使えばいいだけ

「体育が嫌いだった男」が筋肉ビジネスを盛り上げる――。星野雄三さんは東京大学大学院で筋生理学を研究後、「続かない人」のためにセミパーソナルジム「バディトレ」を設立。短時間・高強度・コスパ重視の仕組みにより、多忙なビジネスパーソンの運動習慣を根付かせています。今回は体育が嫌いだった学生時代をはじめ、ビジネスパーソンに最低限やってほしい筋トレ、フィットネス業界の激戦を生き残る秘訣を伺いました。

【目次】

【プロローグ】「令和の虎」に挑んだ男
【第1章】人は「続かない」。コスパ重視フィットネスを設立
【第2章】目指したのは「人の行動を変える健康指導者」
【第3章】「運動が続かない」「収入を増やしたいなら筋トレ?」
【第4章】事業存続のカギは「近所のおばちゃん」

【プロローグ】「令和の虎」に挑んだ男


― 星野さんは人気YouTube「令和の虎」に登場してピッチしていらっしゃいましたよね。EXCEEDの達成、おめでとうございます(「令和の虎」とは一般起業家である志願者が事業計画をプレゼンし、審査員(虎)が出資の可否を決定する番組。2025年3月現在、YouTube登録者数は135万人を超える)。

ありがとうございます。もちろん勝つつもりで臨んだのですが、林尚弘さんが「筋トレする気が起きない」とおっしゃった時は雲行きが怪しくなって「終わったな」と目の前が真っ暗になりました。あれはかなり緊張しましたね。

― 星野さんの緊張は動画から伝わってきました。虎の方々は毎回違うお顔ぶれですよね。

はい、事前に聞かされておらず、ドアを開けた瞬間に「このメンツなんだ」と。ドラゴン細井さんをはじめ虎の皆さんには多方面から厳しく突っ込んでいただきましたが、番組後の今も親身にアドバイスを下さっています。

【第1章】人は「続かない」。コスパ重視フィットネスを設立


― バディトレの事業概要について教えてください。

バディトレは、東京大学大学院での筋生理学研究や豊富なトレーニング指導経験を活かし、2016年に設立されたセミパーソナル方式のフィットネスジムです。恵比寿や本郷、渋谷を中心に展開し、特に運動初心者や運動嫌いの方々に向けて短時間で高い効果を得られるトレーニングを提供しています。

― バディトレのフィットネスプログラムの特徴を教えてください。

バディトレのセミパーソナルトレーニングは、3~6人の少人数制で行っており、個別指導の質を保ちながらグループトレーニングの一体感を活かすスタイルを導入しています。トレーニングは45分間の高強度インターバルトレーニング(HIIT)を中心に構成され、短時間で最大600kcalを消費可能。パーソナルトレーニング並みの指導を手頃な価格で受けられます。

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また、バディトレでは「ユーザーと約束を握る」「フォームをチェックする」「全力を引き出す」の3つを徹底。トレーナーが個々の動きを見ながら適切に声がけをし、参加者が継続できる環境を整えています。さらに、トレーニング前の自己紹介や参加者同士の交流を促すことで「コミュニティ型ジム」という独自の価値を生み出しています。

― ジムを立ち上げる時、なぜセミパーソナル方式を選んだのでしょうか。

基本的に「人は続かない」ですよね。続けさせるために、世の中にはパーソナルトレーニングがあります。ただ、パーソナルトレーニングは費用がネックで続けられない方も多い。そんな点から「短時間でコスパのいいトレーニング」を模索し、セミパーソナルにたどり着きました。

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― なぜ一般的なマシントレーニングを選ばなかったのでしょうか。

大きな理由は「万人受けしないから」。ウエイトトレーニングに重きを置いたマシンでは、華奢な女性、ふくよかな女性、小柄な男性、中年男性といった異なる体格やご年齢の方々が毎回ウエイトを調整しなければならず、タイムロスが生じやすい。加えて「パワーがある人ほど偉い」といった世界では「タンクトップの面積の少ないマッチョ」の隣でトレーニングしなければならず、運動初心者や運動嫌いの方にとってはディストピアですね。

― どのような方がバディトレを利用していますか。

ユーザーのボリュームゾーンは20代後半~30代後半で、男女比は7:3です。職業はIT関係、スタートアップ経営者、フリーランスなど、男女ともにビジネスパーソンが中心。20代後半から「体力が落ちてきた」「体の不調が増えた」「体型がだらしなくなってきた」と感じ始める方や、ダイエットで2〜5kg痩せたいと希望する方も多いですね。

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― ユーザーのビフォー・アフターをお聞かせください。

ある接客業の女性は夜にお酒を飲むことが多く、内臓が疲れていました。勤務後はラーメンを食べ、UberEatsでファーストフードを注文する。休日は疲労困憊して外出したくない。でも、バディトレで毎週トレーニングするようになってからは軽やかに動けるようになった、二日酔いをしなくなった、休日も友達と楽しく過ごせるようになった、と。単なる体型の変化だけでなくQOLも向上したとご評価いただいています。

【第2章】目指したのは「人の行動を変える健康指導者」


― 学生時代はインドア派で体育はお好きではなかったとのことですが、どのようなお子さんでしたか?

​幼少期からゲームが好きで1日10時間以上プレイしていました。​スーパーファミコンやNINTENDO64のコントローラーを分解・修理するなど、機械にも興味がありましたね。​学業面でも公文の学習に励んで表彰を受けるなど、なかなか熱心だったと思います。​しかし、球技の運動が苦手でした。​スクールカーストの上位でモテる人はたいていイケメンかスポーツができる人。当時から体力はありましたが、スポーツでは目立てなかった。

高校に進学してからは何となくアメフト部に所属しました。アメフト部やラグビー部にも陰キャは沢山いるんですよ(笑)。ただ、​アメフトを通じて体が鍛えた分だけ強くなることに魅了されました。スポーツも学習も、ゲームのRPGのように経験値を積むと自己成長を感じられた。

一方、高校3年生の最終大会直前に膝の靭帯を断裂する大怪我を負い、大きな挫折を味わったんです。​入院生活で医師からアドバイスを受けた経験から、怪我防止や疾病予防のための「健康指導者」という道を考え始めました。​

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― 病気・怪我を治療する医者よりも、日常生活の見直しを促す健康指導者になりたかったんですね。

はい、正直に言うと医師は空気がドヨンとした病院にいなければならないため。また、一般的にスポーツ関係に携わりたい方はアスレチックトレーナーになってスポーツの現場で活動しますが、私は一般の皆さんのエネルギーを底上げしたかった。病院が必要とされない健康的な世界を作りたかったし「人は病気になるものだ」という考えを打破したかった

バディトレのセミパーソナルトレーニングはまさに学生時代の思想に則っています。「マッチョかアスリートをバディトレに連れてきますよ」とおっしゃっていただくことは多いですが、超・運動初心者の方にお越しいただきたいんです。

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― 星野さんが東京大学大学院で筋生理学を専攻した理由をお聞かせください。

ボディビルティングや筋肉の研究界でトップの石井直方教授の研究室があったから。また、研究者になって新たな理論を生み出し、本を出版したかったからです(2025年に「健康理論」に関する本を出版予定)。

― 「筋肉博士」である石井直方さんの本は筋トレガチ勢の皆さんも愛読していますよね。大学院時代に得た学びやご経験はありますか?

3つあります。まず、筋肉の柔軟性向上を研究する傍ら、実際にパーソナルトレーナーとして研究と実践を融合させた指導ができたこと。次に、東大のOBOGコミュニティに入ったこと。在籍時はプレゼンやセレクションに受かりやすいし卒業後もアルムナイと繋がれるし、いい意味で学閥が強いですね。3つ目に、私自身も東大生向けのシェアハウスを運営し、コミュニティ形成やネットワーキングの重要性を学んだこと。​

これらの経験はバディトレのコミュニティ重視の理念や、科学的根拠に基づくトレーニングメソッドの提供に活かされています。東大のブランド力や人的ネットワークのおかげで「脳筋」のトレーナーとは思われず(笑)厚い信頼を寄せていただいています。

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【第3章】「運動が続かない」「収入を増やしたいなら筋トレ?」


― 筋トレに二の足を踏んでいる読者の皆さんに「最低、これはやってほしい」を教えてください。

バーピーです(筋力トレーニングの一種。立った状態から股関節・両ひざを曲げて両方の手のひらを床につく。両ひじを伸ばしたまま腕に体重を掛け、両足で床を蹴って足を後ろに伸ばす)。私が2020年に作った動画は「映えないけれど無心でできる」と好評です。スクワットも1日1回でいいのでやってほしいですね。

― 筋トレ以外に、ウォーキングも推奨していらっしゃいますよね。

はい、1日7000歩は歩いてほしいですね。10分で1000歩ですから、約1時間。歩く行為は心身の健康に大きく関わってくるため、1日2000歩以下だとうつ病や寝たきりになるリスクがあります。都内の通勤では駅まで10〜20分歩く、階段を登り降りするなど歩数を稼げますが、リモートワークでは500歩に満たないこともザラです。毎日1時間歩きましょう。

― 筋トレや運動が続かない方でも習慣化するための工夫はありますか。

アトミックハビット(Atomic Habits)の考え方を取り入れ、最小習慣から始めることが重要です。つまり、30〜60分の完璧なトレーニングを目指すのではなく「必ずできる運動を1分から始めること」です。

― 日常的に取り入れるといい食生活を教えてください。

YouTubeで流行っているマッスルグリルさんの「究極の減量食『沼』」や、料理研究家リュウジさんの「至高の野菜スープ」など、色が茶色くてSNS映えしないものを食べると体内から綺麗になります。

現代人はカロリーが高くて栄養価が低いものを食べる傾向があります。例えば、ラーメンや小麦粉をふんだんに使ったパンケーキ。栄養価とは炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン、水、食物繊維のことで、外食が続くと十分に摂取できません。日頃から野菜や果物、海藻類を摂ることも意識してください。飲み会でお酒を飲むなら、ソフトドリンクをはさむ。飲酒を我慢するのではなく総量を減らしましょう。

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― ラーメンもパンケーキも好きなので耳が痛いです・・・。睡眠でも注意することはありますか?

1日7〜8時間は徹底的に寝てほしいです。働き方や健康への意識が高まる昨今、睡眠を軽視するビジネスパーソンは少ないと思いますが「早起きしたい」「朝活したい」と睡眠を犠牲にする方には「その前に早く寝てください」と伝えています。

― 星野さんご自身がトレーニングする時に意識している部位はありますか。

普段は30分でHIITするか、ビッグ3をウエイトトレーニングしていますが、特に大殿筋をしばいています。デッドリフト(背中や臀部といった体の裏側を鍛えるのに適した筋トレメニュー)で脊柱起立筋も意識していますね。お笑い芸人の松本人志さんのように胸をパンパンに肥大させたいとは考えていませんが、ベンチプレスもレベルアップさせたいです。

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― 脳を酷使するビジネスパーソンにこそ筋トレが重要だ、とおっしゃる理由をお聞かせください。

皆さんはとかく仕事で成果を出したい、収入を増やしたいと脳の働きばかりに目を向けますが、実は筋トレや運動でしか生まれない成長ホルモンがあります。業務効率を上げたいなら、1日5分でも運動した方がいい。特に出世や成長もしたくなくて、9時5時で仕事をして決められた給料をもらい、夜にテレビをぼんやり見る人生を送りたいなら気にしなくてもいいですが。

この記事を読むような意識の高いビジネスパーソンは、運動しないでどうやって業務パフォーマンスを上げようとしているのか。「忙しいから」「なかなか続かなくて」と運動しないのは論理的ではないし、脳を鍛えるには筋トレしかない。敢えて炎上覚悟で言うなら「それでも鍛えないのはバカ」です。

【第4章】事業存続のカギは「近所のおばちゃん」


― フィットネス業界は競争が激しいですよね。話題性や独自性の高いサービスを展開しても、いつの間にか見聞きしなくなる。人気を継続させる難しさを感じます。バディトレが生き残るための戦略は何でしょうか。

バディトレは小規模ながらも順調に増え続けるでしょうね。なぜなら「人間関係」は廃れないから。例えば、ユーザー同士がバディトレで週1回会って「最近転職した」「子どもの運動会があった」と話しても「あの人には先週も会ったから、もう飽きた」なんてありませんよね、お互いが常に変化しているから。

反面、フィットネスジムに暗闇やソシャゲ、EDMなど五感を刺激したエンタメ性を取り入れると、人は飽きます。ある程度までは運動嫌いの壁を乗り越えられますが「なんか飽きちゃった」と離れてしまうんです。

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― 事業の生存戦略や付加価値を考えすぎてしまうのかもしれませんね。

その点「人」は年を重ねるし、成長するし、体のあちこちが良くなったり悪くなったりする、一番飽きないエンタメではないでしょうか。

ふと、小さい頃の夏休みを思い出すと、毎朝ラジオ体操で近所のおばちゃんに会っていましたよね。「昨日は何を食べた?」といった会話はエンタメ性が低くても「もう食べ物の話をしたくない」「もう会わなくていい」とはならない。むしろ「体が大きくなったね」と言ってもらえる。あのスタンプカードだって何年も変わっていないのに、なぜか飽きない。

だからフィットネスジムにもエンタメ性は必要ありません。フランス料理は毎日食べられないけれど、米と味噌汁と焼き魚は食べられる。バディトレでは「焼き魚的なHIITトレーニング」を皆さんに堪能していただくんです。

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― 「筋肉スタートアップ」として、バディトレの今後の目標をお聞かせください。

長期的には「運動がつらい」という概念を覆し、誰もが続けられるように世界規模で店舗拡大をすること。そのために現在は人材育成に取り組んでいます。バディトレでは「人対人」を重んじるため、人材のクオリティに関する議論は避けられない。いかなる場や相手、状況でも集客できる再現性を持つ人材、また、ユーザーコミュニティを形成しながらトレーニングをファシリテーションをするトレーナーの育成を本格化させます。

― 最後に、ビジネスパーソンの読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

やるか、やりまくるか」。やったら、やりまくりましょう。それから100回の理屈よりも1回のスクワット。今、これを読んでいるそばからスクワットを始めましょう。

― 星野さん、お話をお聞かせいただきありがとうございました。

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(企画・取材・執筆:佐野 桃木 写真提供:バディトレ 最高顧問:Z)

● プロフィールはこちら「株式会社バディトレ代表取締役社長 星野雄三さん

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